現代文化学部には、2年次生必修の「フィールド・スタディ」科目の1つとして、「都市探訪」という科目が設けられています。
都市の現代に関係するいくつかのテーマをとりあげて、事前授業をしたうえで、実地見聞をおこなっています。その一環として、6月14日(土)に、「夢の島で20世紀を想起――第五福竜丸と臨海の今日」と題して、東京湾沿岸の、夢の島と臨海公園に行ってきました。総勢13名です。
当日は幸い、雨にならず、東京メトロ有楽町線・新木場駅に午後1時集合。ここが夢の島公園の玄関口です。かなりの蒸し暑さですが、土砂降りの雨よりはずっとまし、とばかり一路、「第五福竜丸展示館」へ向かいます(徒歩15分弱)。
第五福竜丸とは、アメリカのビキニ水爆実験で被曝した、まぐろ漁船です。
1954年3月1日、南太平洋のビキニ環礁の巨大水爆実験で、立ち入り禁止とされた海域以外の周辺の島々や航行していた船舶も被曝し、まぐろ漁船「第五福竜丸」も被曝しました。船はそのまま、焼津港に戻りましたが、船員全員が被曝しており、その後、死者も出ました。東西冷戦の緊張のなかで、原爆に続いて水爆という核の恐ろしさを実感させる、国際的に注目をあびた大事件でした。
その後、この船は船名を変えて使われたのち、やがて忘れられ、東京都のごみ廃棄物の埋め立て地となっていたこの地で廃船として処分されそうになりました。しかし、あの「第五福竜丸」であることが判明して保存運動がひろがり、当地が夢の島公園として全面的に模様替えするのに合わせ、現在の場所に記念館がつくられました。
以上のように、実物の船体を見上げながら、ボランティアガイドさんの説明、解説を聞きました。被曝された船員の方々の証言を実感し、被曝船の数奇な運命と、その姿に刻印されている時代の記憶に、学生諸君も思いを馳せていたことでしょう。
ボランティアガイドさんの説明を聞く参加者一同
館内を巡る(左)、「第五福竜丸」のエンジンの屋外展示所で、記念撮影(右)
その後、新木場駅に戻ります。JR京葉線で荒川を越えて一駅先、「葛西臨海公園」へ。
ここ一帯は、東京湾に臨む広々とした公園となっていて、徒歩5分ほどで、海へと広がる視界の一角に葛西臨海水族園があります。湾岸の今日を体現している、憩いの場です。梅雨の合間の土曜日だったこともあり、大勢の家族客や、若い人たちで賑わっていました。
水族園では、多様な水棲生物の生態がわかるように展示され、マグロの回遊、ペンギンのパフォーマンスも見られます。また、身近な東京湾にもいろいろな海洋生物がいることに驚きます。
人も館内を「回遊」するわけですが、ところどころに休憩場所もあり、学生諸君も、しばし涼むことができたでしょう。
ペンギンも涼しそうに、こんにちは(左)、葛西臨海水族園入口、人工海岸の水際で、休憩(右)
こうしていろいろ歩き廻るうちに、半日のフィールドワークも終わりました。参加者は、今後のレポート作成の材料も得たと思われます。
全員点呼を取って、16時半、現地解散。葛西臨海公園駅から、JRで三々五々、帰路に着きました。