現代文化学部准教授 小林奈穂美
現代文化学部では、3・4年次生対象科目として「国内添乗研修」を開講しています。
本年度は、8月25日(月)~8月29日(金)までの4泊5日、大阪・京都で研修を実施しました。春学期に座学で学び、いよいよ実施体験です。男子12名、女子5名が今回の実習に参加しました。
添乗員は、旅程管理・さまざまな旅行サービス受領サポート・団体管理・旅行相談・豊かな旅づくり・金銭管理をひとりで行う役割を担っています。4泊5日の間、学生は添乗員として行動する場面と、お客様として行動する場面を何時も交互に体験していきました。
添乗業務は、実は前日から始まっています。「対客電話」と言って、同行のご挨拶と共に、明日の集合場所と時間、旅程の確認、注意事項などを伝え、最後に質問を受け、お客様との信頼関係づくりをします。前日、指定の時間に学生は添乗員として、私に電話をかけてきました。原稿を棒読みにしている人、上がってしどろもどろの人、予想をしていなかった質問に、会話が止まってしまう人もいました。対客電話の意味や電話で信頼関係を築くことの難しさを痛感したようです。電話をかけることをすっかり忘れたという学生がおり、翌日の集合時に早速私の雷が落ちました。
8月25日
羽田空港集合・空港施設把握・空港における添乗業務
10時集合のあとは、早速、事前に決められた5つのチームに分かれ、課題に取り組みます。空港の設備や機能をしっかり把握しておくことは添乗員の基礎知識として大切です。
課題を終えて再集合、さていよいよ添乗研修本番です。添乗員(学生)は、受付案内、シートアサイン、ホテルへ電話をして予約を確認、受託手荷物や手荷物検査からゲートまでの誘導、添乗員はお客様が全員搭乗したことを目で確認したあと、最後に搭乗します。
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伊丹空港に到着したあとは、チーム毎に京都へ移動です。移動手段もチームで考えます。京都総合観光案内所再集合までに、ミニツアーに必要な情報や資料を集め準備しなければなりません。その後、京都市内のホテルまで移動します。ホテルに到着し、スーツケースを預け、明後日から実施するミニツアーの下見のため、チーム毎に出発しました。
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ホテルチェックイン業務と明日の案内業務
19時にホテルに再集合し、チェックインです。添乗員(学生)から鍵をもらいホテルの設備やロケーションの説明を受けます。その後、明日の集合案内や朝食の説明を受けたあと、各自部屋へ入りました。
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8月26日
朝食の誘導と本日のスケジュール等の説明
朝のスタートは爽やかな挨拶から始まります。添乗員(学生)は朝食レストランの入り口でお客様を迎え、お席に誘導します。お客様の顔色や食欲から体調もチェックです。なかなか来ないお客様には、部屋に電話をかけます。
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一日バス観光の説明とホテルから集合場所までの誘導・世界遺産巡り後のホテル誘導
今日は終日、世界遺産観光に参加します。京都を巡るバス観光から、添乗員、ガイドさん、ドライバーさん仕事ぶりとその連携などを学び、明日から行う自分たちのミニツアーの参考にすることが目的です。ホテルロビーに集合して、人数確認と観光内容の簡単な説明をした後、観光バスの乗車場所まで誘導します。観光の後は、観光バスの下車場所からホテルへ誘導します。
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学生から提出されたレポートを見ると、移動中のバスの中では、終始ガイディングしながら寝ているお客様への気配りがあったこと、途中夕立があり集合時間にお客様が早く戻ると、予定より早く出発したこと、離団するお客様をきちんと把握していたことなどに気づいており、臨機応変な対応とはなにかを考えるきっかけにもなり、大変よい勉強になったようです。
8月27日
ホテルロビー集合と半日観光の説明と移動
さていよいよ今日から、各チームが企画した半日ミニツアーを実施しながら、チーム単位で添乗業務を行います。午前と午後のチーム同士の打ち合わせも必要となってきます。
旅程や持ち物、注意事項を説明し午前は扇子の絵付け体験のお店へ移動です。お店ではお客様が楽しんでいらっしゃるか、全体の様子を見ながらタイミングをはかり精算業務を行います。
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祇園バス停前で一度解散して各自昼食をとり、同じ場所から午後の担当チームが添乗業務を行います。午後は京都水族館と東寺へ行くツアーです。集合場所での人数確認とツアー内容の説明のあとバスで移動し、水族館へ向かいます。事前に団体入場の予約をしてあるため、お客様より先に専用窓口へ向かい、受付と支払を行います。再集合の場所、団体写真やトイレの案内のあと、全員一緒に入場します。お客様が見学している間に、15時からのイルカショーを良い席で見ていただくため席取りをします。そして早めに再集合場所でお客様を迎え、団体写真を撮ったあとは、バスで東寺までご案内します。この後、現地解散となり、行程が無事終了しました。
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観光地における添乗業務を任された担当学生たちは、下見をしたことでバス停の位置や施設への誘導はスムーズにできましたが、団体で移動することの難しさを痛感したようです。
8月28日
ホテルロビー集合と半日観光の説明と移動
ホテルロビーに集合し、担当チームが旅程や持ち物、注意事項を説明します。午前は和ろうそく絵付け体験と三十三間堂と西本願寺を巡るツアーです。
この日は、あいにくの雨でした。ホテルからバス停への移動、バスからバスへの乗り継ぎがあり、反対方向のバスに乗ってしまうというアクシデントもありましたが、余裕のある日程を組んでいたこともあり、体験場所へは予定の時間に到着できました。バス内では添乗員は立ったまま、お客様の様子を確認します。降りる際に傘をさしかけるなどの気配りもありました。お客様が見学している時間を利用し、集合写真撮影場所の設定や、バス停の確認もします。バス移動で三十三間堂と西本願寺を巡り、京都駅で一度解散して、各自昼食となりました。見学時間の余裕がほしい箇所もありましたが、旅程管理と精算業務もスムーズでした。臨機応変に対応することを学んだようです。絵付け体験の間に雨があがったことは何よりでした。
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午後の半日ミニツアーの説明と移動
各自、昼食を済ませ、京都駅の解散場所に再集合し、担当チームが旅程や注意事項を説明します。祇園の甘味どころでパフェを食べ、祇園から石塀小路、八坂の塔までを散策したあと、京都タワーで夜景を見るツアーです。
京都駅の再集合場所で人数確認し、祇園行きのバスに乗ります。バスを祇園で降り、予約した甘味どころまで移動です。事前に予約の確認をしてあるため、入店もスムーズで2階の座敷に通され、わらびもちパフェをいただきました。お客様が食べている間に精算をします。金額に誤差が生じるというアクシデントがありました。これは確認不足で反省点です。その後、ところどころで集合写真を撮りながら、清水道バス停まで誘導します。
夕方ということでバス停が、大変混雑していて、乗るまでに時間がかかりました。これも想定外のことでした。なんとか京都駅に着き京都タワーへの誘導は、下見の甲斐があり精算業務を含め、大変スムーズでした。京都タワーで夜景を堪能して解散となりました。
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8月29日
ホテルチェックアウト業務
チェックアウト業務は、清算・忘れ物の確認と移動における注意点、京都駅に大きな荷物を先に送るので、個数の確認などを行いホテルと確認します。
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ホテルロビー集合と半日観光の説明と移動
ホテルロビーに集合し、担当チームが旅程や持ち物、注意事項を説明します。今日はおたべづくり体験と伏見稲荷大社を散策する半日ツアーです。
まずはホテルから地下鉄とバスを使っての移動です。地下鉄は通勤時間と重なるので、通勤客に迷惑にならないよう誘導します。地下鉄は事前に切符をまとめて購入しバスは降車の際にまとめて支払をします。予約してある店でおたべづくり体験と工場見学のあと、再びバスに乗って京都駅に移動します。実はこのルートのバスは小さいタイプのため、一般のお客様と一緒に全員が乗れるのか下見の際に不安があり、市営バスに問い合わせをしたところ、臨時便が手配されました。市営バスがこのような対応をしてくれるのかと大変驚きました。京都駅からはJR奈良線に乗り換え稲荷駅へ移動です。これも事前に人数分の乗車券の手配が必要です。これも下見の成果があり、大変スムーズに誘導できました。稲荷駅から伏見稲荷大社の再集合場所と時間の案内、昼食のおすすめどころを紹介して解散し、再集合と集合写真の撮影、JRで京都駅までの誘導と、無事に終了となりました。最後のチームらしく、昨日までのチームを参考に添乗業務が行われていました。旅程管理、精算管理もよくできていたと思います。京都駅八条口の再集合場所で一時解散となりました。
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京都駅のJR団体入札とシートアサイン、駅内からホーム乗り口までの誘導、離団手続きと東京駅挨拶
添乗員(学生)は解散後に残り、導線の確認とシートアサインを行います。事前打ち合わせのお蔭でスムーズな誘導、団体入札、座席への着席ができました。途中離団するお客様のための、手続きも学ぶことができました。
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定刻どおり東京駅に到着、添乗員(学生)の最後のご挨拶で終了となりました。
春学期の座学では、これで実習は大丈夫だろうかと心配しておりましたが、それぞれの担当業務はプロの添乗員の詳細なレクチャーを受けながら取り組んでいました。半日ミニツアーは、男女、3年次生、4年次生をバラバラにしてチーム編成をしましたが、それぞれ役割を分担してチームで取り組む意識がありました。添乗業務を体得するための研修ですが、寝食を共にすることで、学びの多いものになったと思います。
参加した皆さん、大変お疲れ様でした。
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