2014年3月1日(土)、先日来の大雪の名残が各所に残る秩父市で、アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のキャラクターがラッピングされた、ちちぶ巡礼バスの出発式が行われました。天野は、秩父アニメツーリズム実行委員会の一員として、この式典に参加し、その後の試運転にも乗車してきました。外装部分のラッピングだけでなく、車内のデザインも「あの花」モチーフとなり、車内外の放送もめんま役の茅野愛衣さんが務めていますので、ファンにとっては堪らない体験でしょう。
このバスの運行にはふたつの意味があります。ひとつは、2011年にTV放映され、2013年には劇場公開された、「あの花」が、舞台設定の参考にしたのが秩父市であったと言うことから、秩父市は「あの花」ファンの集う「聖地」として賑わい、市もこれに頼った観光誘客事業を次々と展開してきました。天野は、この取組に、主に効果測定の観点から参画し、毎年集められるアンケート票の束に苦労させられてきましたが、2014年3月に劇場版のセル・パッケージの発売が行われると、今までのような勢いは失われて行くであろうと考えています。それでも秩父を訪れて下さるファンの皆さまへの感謝とおもてなしの気持ちを表すという意味です。ふたつめの意味は、少々戦略的な観点に立ちます。今年の干支は午ですが、午年ごとに秩父三十四ヶ所の観音霊場(秩父札所)の秘仏を全て公開する「午歳総開帳」が行われる年になります。この巡礼者の移動手段としてご利用いただくとともに、アニメ世代と巡礼世代のクロスマッチをはかりたいとの考えもあります。
今日の観光は、行動の中心が個人・家族になり、かつてのように旅行会社が大量送客する時代は終わり、それぞれの観光地で人を呼ぶ時代に変わってきました。その中で、既存観光資源は、陳腐化し「人が呼べない」観光資源へと転落している物も数多くあります。この点で、秩父札所は、十七番が「あの花」作中で重要な場面として登場し、多くのアニメファンを引きつけていますので、既存観光資源(札所)にアニメ・ツーリズムという波で再生を図ろうとしているわけです。
巡礼バスは2台ありますが、11月24日までの土日祝日、1日9便運行されます。当日のダイヤ状況で「あの花」ラッピングされた車両以外を運行することもあります。詳細は秩父観光なび、西武バスHPなどでご確認ください。
ちなみに、飯能の街並も「あの花」の中に登場します。写真は登場人物の1人、鶴子が座っていた飯能駅構内のベンチです。探してみてください。